宇江佐さんは平成12年に「深川恋物語」で吉川英治文学新人賞、13年には「余寒の冬」で中山義秀文学賞を受賞するなど、江戸の風情を巧みに描く作家として知られる。
函館の浜言葉で育った宇江佐さんは「江戸下町の言葉に親しみを感じ、三代前の先祖が生きていた時代を体感したいという思いがありました」と時代小説家になった経緯を紹介。
白菜は明治時代に入ってからの野菜で、江戸時代にはなかった。参勤交代により江戸住民の6割が武士で、商人が経済を牛耳っていた。当時の刑法、服装を知らないと捕り物が書けないなど「時代考証を勉強しなければならない」といった苦労についても触れた。
殺人事件が多い昨今、「小説を通して殺人がいけないことだと訴えていかなければ」と強調。
遠くの親せきより近くの他人というように、江戸の長屋ではしょうゆの貸し借りをするなど、心は豊かだった。「現代は人間関係が希薄になってきているので、こうした時代の話を書き続けていきたい」と語った。 (成)