市は、工事先4件いずれも工事代金を支払うことを「内諾した」として和解を求めた上で、代表が和解に応じない場合は「認諾」という形で裁判を終結させる方針を代表に伝えた。
3月17日の第2回口頭弁論では、代表に和解の意思がないため、被告(北見市)の代理人は「水道事業給水条例を抗弁として取りあげるのは法律上不可能」として認諾した。
契約の成立が明らかなためだ。認諾は被告が原告の主張を全面的に認める行為で、判決とは異なり裁判官が原告と被告双方の主張を客観的に判断したものではない。市はまったく主張をしないまま事実上、全面敗訴。
神田孝次北見市長は3月13日の市議会本会議答弁で「行政報告をしない」としていたものの、17日の市議会本会議で急きょ裁判結果の行政報告を行った。少額訴訟を一般の民事訴訟に切り替えた理由を「上級審への控訴が許されないことや1日での審理を原則とするため、市の主張を出し尽くせない場合も考慮した」と述べた。
「ならばなぜ、何の主張もせず認諾したのか。契約が成立していることは(裁判)以前から分かっていたはずだ」と市議、市民から疑問の声が上がった。
裁判で負けても「非常災害」だから「責任負わない」
契約の判断資料はすでに返却
裁判終了後、代表は、口頭で契約が成立している他の工事代金支払請求に対しても、この裁判の結果にならって市が支払うべき、と訴えた。
しかし、行政報告後の本会議緊急質疑で神田市長は「同様の請求は司法判断が適切」と答弁。6月の断水が「非常災害」であることを根拠に同条例に基づいて市は「賠償責任を負わない」とする姿勢を強調した。
市は受水槽の清掃工事を受けた施設の設置者が支払うべき−との考え方を最も重視している。このため、代表と同様のケースであっても、裁判の手続きと判決という客観的な判断の上に立つべき、というのが北見市の「公平・公正」の論理だ。
裁判と同様に契約が成立するとみられる事案については、市が工事先の設置者に支払いを要請する、としている。司法判断(裁判所の判断)を必要とする理由を公営企業管理者は「(市企業局は)正確で客観的な判断ができない」と述べた。
判断に必要な企業局と工事業者の記録(メモ)はなく、支払いを求めた請求書、工事報告書など企業局に提出されていた書類は、昨年12月6日の行政報告以後、それぞれの工事業者や団体に返却しており、3月17日時点で市企業局には残されていなかった。−つづく− (粟)
写真…裁判後、行政報告する神田市長(写真下)