キンキは深海性の魚で、網走は日本で唯一の「釣りキンキ」の産地であり、特産品として人気がある。ただ、資源量は世界的に激減傾向にあるため、増殖の研究に着手した。
深海性の魚であるキンキは水温0度から8度でしか生息できず、飼育は困難とされる。青森県の水族館では10年以上の飼育記録があるが、本格的な増殖研究は国内外で例がない。
松原講師の研究グループは、中村漁業と水谷水産工業からキンキの親魚の提供を受けている。増殖研究を進める上で、生育状態がよい生きたままのキンキは欠かせない。
28日までに同大に提供されたキンキの雄12匹のうち5匹が、運動が高い精子を持っていた。松原講師らは、精子の運動活性の差に着目し研究を進めたところ、1匹が保有する精子の量と水素イオン指数(アルカリ性など)が関連することを発見した。
こうした関連性を見つけたことで、人工授精する際は良質な精子のみを使え、高い確率でふ化させられるメリットがある。松原講師らは現在、精子の長期保存に不可欠な液である「精漿(せいしょう)」を人工で作る研究に取り組んでおり、成功すれば運動活性の高い精子を大量に冷凍保存でき、養殖に向けた研究に弾みをつけられる。
ただ、深海魚であるキンキの増殖に向けた道のりは険しそうだ。松原講師は「高級魚を提供してくださる同部会に感謝している。時間はかかるが研究を重ね、網走の特産品であるキンキの増殖をめざしたい」と張り切っている。 (大)
写真上…地元漁業者から提供されたキンキ
写真左…キンキの受精卵