深海の中深層に住むミズウオは、主にインド洋や北太平洋、大西洋に生息する。時折、海岸に打ち上げられ発見されるケースがある。
関係者によると、網走沖で捕獲された例は皆無だという。東農大で譲り受けたミズウオは、体長約1.3メートル。細長い体に比べ頭は大きく、歯が鋭い。鱗がないのも特徴だ。
国内の研究者は、ミズウオを海のバイオマーカーとしても位置付けている。近年、捕獲したミズウオの胃の中から、人間により排出されたごみが見つかるケースが増えており、深海層の環境状態を知る上でも重要な役割を果たしているらしい。
松原講師は同漁協からミズウオを譲り受けたあと、すぐに解剖し胃の内容物を調べた。ごみはなかったが、網走市内のオホーツク流氷館でも飼育しているナメダンゴの仲間がたくさん出てきた。
暖かい海に生息するミズウオは、なぜ網走沖に現れたのか−。松原講師は「地球の温暖化が直接の要因とは言えない。何らかの理由でオホーツク海に流れ込む海流に乗って来てしまったのでは」と推測し、貴重な魚を提供してくれた網走漁協に感謝している。
ミズウオは解剖調査後、東京都にある国立科学博物館で標本にされ、半永久的に保存される。同博物館にはこれまでも、同大アクアバイオ学科からオホーツク海などで捕獲された珍しい魚が送られている。 (大)