報告書は、局地的な豪雨がすり鉢状の地形の土砂を支流に押し流したことを明らかにしたが、海老江委員長は報告書の中で「自然災害ではない」ことを明記し、8月4日に神田孝次市長に報告書を提出した際もこのことを繰り返し述べた。
海老江委員長は「高濁度水が長時間流れた場合、断水が起こった可能性を否定できない」としたが、断水が起きたとしても相当早いうちに給水を再開できただろう、と推測。被害を大きくした最大の要因は、高濁度の水を取水して浄水場内に入れ、浄水を続けたことだ、と明記した。
高濁度の水を引き入れたのは、監視の甘さと水質に対する現場技術者の意識の低さが指摘されている。濁度を計る濁時計が設置されていたものの、正確な濁度を示していなかった。この状態を技術者達は知っていたが、点検や修理を十分に行わず、濁度が変化したことを知るための目安として使用していたことも明らかになった。
さらに、濁度が2千〜3千度の原水を処理した過去の経験や、濁度が極端に高くなることはないとの思い込みと、給水を停止させてはいけないという思いから、浄水作業を続けていたことも分かった。
浄水場に引き入れた水が、濁度1万3千度に達する異常事態と分かったのは、断水前日の6月22日の午後7時40分。その1時間以上前から濁度が急に上がっていたが、適切な対応をとっていなかった。
取水を停止したのは約3時間後の午後10時半。その後、取水を再開して浄水作業を行ったが事態は悪化する一方だった。
その結果、浄水場工程の最終段階にあたる砂ろ過池まで濁りが入り、浄水システムそのものが破綻した。浄水場できれいな水をつくることができないために、汚れた浄水システムを洗浄する水すらない状況に陥り、復旧に時間がかかった。
海老江委員長は「原水がいかなる高濁度となっていてもそれを水道水基準以下のレベルにまで処理できるとする対応は受け入れることができるものではない」とし、早い段階で取水を止めず、浄水作業を続けたことが浄水システム破綻の原因だと指摘している。
−つづく− (粟)
写真…茶色に染まった浄水施設