取水停止から25時間は給水することが可能だ。総事業費約29億円。国が約8億9千万円を補助。21年の6月の供用開始を目指し建設工事は急ピッチだ。
さらに、市企業局は浄水場から出る汚泥の乾燥ろ床を新設するため、同浄水場北側に土地約4.37ヘクタールを購入する計画で、取得費と実施設計費など7550万円を6月の補正予算案に計上した。乾燥ろ床を充実させることで汚泥量を減らし、年間3700万円の経費を削減する狙いだ。
市企業局は6月11日、水道災害訓練に取り組んだ。昨年の断水時と同様「常呂川上流域に豪雨」という想定で情報の収集と伝達を円滑にする訓練。
しかし、上流域の雨による取水停止は訓練の前に4回あった。訓練当日も雨が降り、訓練直後から実際の取水停止を行っている。
施設整備と人的対応の向上が進められる一方で、断水の補償問題は市民と市政の間に大きな亀裂を残している。
昨年12月、事業者が受水槽の清掃工事代金を市に求めた少額訴訟は、市側が通常の民事訴訟に切り替えたものの、契約が成立していたことから法廷で市が正当性を主張することなく原告の主張を認め、3月17日に終了。市は代金を支払った。
神田孝次市長は、この裁判の結果を同日の市議会本会議で行政報告し、同様の事例については「公平公正を保つ上で司法の判断を求めるのが適切」との考えを示した。
2回目の少額訴訟も通常の裁判へ移行
市民の訴えに経費の壁
断水により、受水槽や給湯機器が故障し、市に支払を求めたケースは数十件、千数百万円にのぼる。これらに対し市は、訴訟による解決を求めたことから議会は紛糾。市政に対する市民の信頼が薄れ、不信感がいっそう高まる結果になった。
訴訟はこれで治まらず「企業局が代金の支払いを約束した」として旅館の経営者が6月17日、工事業者に支払った貯水タンクの清掃代金約3万7千円の支払いを求めて市を相手に少額訴訟を起こした。訴えた経営者は「(金額の大小ではなく)市の不条理は許せない」。
しかし、この少額訴訟は23日までに北見簡易裁判所から釧路地方裁判所北見支部に移され、通常の裁判として扱われることになった。1日で終わることが原則の少額訴訟と異なり、通常裁判は期間や提出する証拠に制限がなく、争いの規模が大きくなることが多い。
公金で裁判費用をまかなえる市と異なり、一市民の原告にとっては裁判に要する経費が大きな壁として立ちはだかることになる。 −完−(粟)
写真…建設が進む配水池と滞水池